検査

検査の種類

ポルフィリン・プロファイル検査の有効性

ポルフィリン - 自閉症や、その他の疾患で疑われる重金属毒性を測定

今、新しい生化学的な指標物として、動物や人間の体内で水銀毒性を示すものがあるということが話題になっています。環境衛生科学者であるウッド博士は、ユニークなポルフィリン(プレコプロポルフィリンとよばれる)が水銀毒性を示唆するものとして利用され得ることを報告しました。ウサギを使ったキレーション実験で、水銀に暴露されたウサギは、キレーションにより細胞組織内の水銀減少と同時に、尿内ポルフィリン排泄も減少していったという結果が出ました。回帰分析によって、キレーション前の尿ポルフィリン値とキレーション後の尿内水銀レベル、またキレーション前の尿内ポルフィリン値と、キレーション前の腎臓水銀濃度の間に高い相関性(「r」はおおよそ0.9)があることが分かりました。水銀に暴露された歯科医からも同じような結果が出ました。尿から水銀が検出されない歯科医は、尿ポルフィリンの平均濃度は男性対象としては通常範囲内でした。それとは対象的に、20マイクログラム以上の尿内水銀が検出される歯科医の中には、尿内の4-、もしくは5-カルボキシポルフィリンやプレコプロポルフィリンの平均濃度が、水銀に暴露していない人よりも3~4倍上昇していたことが分かりました。

ナタフ(3)はプレコプロポルフィリンが自閉症で高く(p<0.001)、アスペルガー症候群ではそれほど高くはない、という報告をしました。自閉症のサブグループは、ジメルカプトコハク酸(DMSA)を重金属排除のために服用していました。DMSA後には、尿内のポルフィリン値が大きく減少(p=0.002)しました。

ポルフィリン・プロファイル検査は簡単で有効な検査として、ポルフィリン症(ポルフィリンの増加)、遺伝的、もしくは環境毒素によって誘発されたり、この両方によって生成されたポルフィリンの有無を調べます。このプロファイルにおける特定のポルフィリン上昇が検出された場合は、その後の検査でフォローアップを必要とし、メタル暴露が疑われる場合はメタル検査、重度の疾患をもつ個人は、他の機能的な検査を受けるようにしてください。

ポルフィリンとは何か?

ポルフィリンは、血液細胞に酸素を運ぶ合成物ヘモグロビンを体が生成するときに発生します。ポルフィリン(ギリシャ語で紫という意味)は4つの輪が一緒になっていて、その中央にメタルイオン、ヘモグロビンのヘム・ポルフィリンにイオン、そして葉緑素にマグネシウムを結合する構造になっています。いつくかのポルフィリンの少量が尿からも排泄されます。それぞれのポルフィリンのある程度は、遺伝性疾患や環境、また栄養状態によって転化されます。遺伝性ポルフィリン症の典型的なケースは、色づいた尿や皮膚発疹、躁病、「狂乱」といわれる神経系の症状を引き起こします。

毒性金属の影響を評価する難しさ

毒性・必須メタル(ミネラル)を定期的に頭髪、血液、尿、大便によって測定していたとしても、毒性金属を直接評価するのは難しいとされます。このテクノロジーは、”ROBUST(確固たる)”(信頼がおけて、的確な、という意味)ものとされていますが、正確な物理学的検査結果の手段としては疑問が残ります。メタル血液レベル検査は最近の、「亜急性」のある暴露を調べるには効果的であり、これは血液を循環するメタルは体の各組織に蓄積されていて、とても強く結合しているからです。

細胞代謝回転のうち、体が細胞として分解再生成される間、結合したメタルの少量が循環器へと戻されます。頭髪プロテインのスルフヒドリル基は、最初に重金属に暴露、もしくは循環器系から戻されたメタルに暴露したとしても、毒性メタルと強い結合性をもつため、頭髪は排出器官とよばれています。頭髪内のメタルを測ることは、以前暴露されたメタルの良い示唆となりますが、個人の体内細胞からメタルが頭髪へどれだけ輸送されたかのバリエーションは数多くあります。検便メタル検査は主に食事による吸収を示し、尿内の毒性メタルは、副作用を起こす可能性があるキレーションが行われていなければ、とても低いレベルで検出されます。

ポルフィリン・プロファイルは毒性暴露の証拠

ヘム(ヘモグロビン)合成が妨害されると、ヘムのポルフィリン先駆物は赤血球内に蓄積し、他のポルフィリンは尿へと排泄され、遺伝性疾患や毒性暴露の指標物として利用されます。この過度の尿内のポルフィリンはヘム合成経路の酵素の遺伝的欠陥にも起因しますが、同じ酵素が毒素によって抑制されているために生成されると考えることができます。現時点で最も研究されているものは鉛と水銀です。ポルフィリン排泄のパターンは、遺伝性疾患の診断、また毒性暴露の度合いを見るのに有効です。ポルフィリンプロファイルは毒性金属の過去の暴露、特に水銀や異物合成物(環境汚染物や薬剤など)のバイオマーカーとして利用されます。

ポルフィリンは、一定化され、遠心器にかけられた尿 をHPLC(高圧液体クロマトグラフィー)システムへ直接注入し、蛍光検出器で分析されます。

ポルフィリンプロファイルの結果は、特別な遺伝ポルフィリン症や特定の異物(外部の)合成物への暴露による病状診断の手助けとなります。ポルフィリン検査は他の検査と受けることも可能で、患者の病歴や症状は当然として、患者自身の状態が何なのか、また病理的な可能性のある要因を定めるために利用されます。

“ポルフィリン検査は、重金属分析においてとても重要な部分となりつつあります。この検査は、重金属、例えば鉛や水銀などの毒素的な影響を直接計測することを可能にします。これがとても重要なツールとなるのは、重金属への暴露のみならず、起こっている重金属毒性の質を定めることができるためです。ポルフィリン検査は、私の患者の重金属を総合的に調べるには欠かせないものです。“―DAN!認定医師

検査方法

コハク色のプラスチックの(添加物なし、「Porphyrin(ポルフィリン)」と書かれてある)試験管に尿を入れ、送付まで冷蔵保存してください。冷凍された保冷剤と共に月曜日から水曜日までに間に送付してください。
最低容量: 5ml

参考文献

  • Woods JS, Martin MD, Naleway CA, Echeverria D. Urinary porphyrin profiles as a biomarker of mercury exposure: studies on dentists with occupational exposure to mercury vapor. J Toxicol Environ Health. 1993 Oct-Nov;40(2-3):235-46
  • Pingree SD, Simmonds PL, Rummel KT, Woods JS. Quantitative evaluation of urinary porphyrins as a measure of kidney mercury content and mercury body burden during prolonged methylmercury exposure in rats. Toxicol Sci. 2001 Jun;61(2):234-40.
  • Nataf R, Skorupka C, Amet L, Lam A, Springbett A, Lathe R. Porphyrinuria in childhood autistic disorder: implications for environmental toxicity. Toxicol Appl Pharmacol. 2006 Jul 15;214(2):99-108.

Updated 5/30/07

検査結果について

検査
  • ウロポルフィリン(UP)
  • ヘプタカルボキシ(7-CP)
  • ヘキサカルボキシ(6-CP)
  • ペンタカルボキシ(5-CP)
  • 早発性プロポルフィリン(PreCP)
  • コプロポルフィリンI、III(CP)
解釈
  • 5-CP、PreCP、CPの高レベル - 水銀暴露に関与
  • 6-CP、5-CP、PreCPとCPの高レベル - 自閉症児に見られる
  • UP、CPの高レベル - ヒ素、鉛暴露に関与
  • UPの高レベル - アルミニウム暴露の示唆
  • UP、7-CPの高レベル - 晩発性皮膚ポルフィリン症で上昇
  • UP、CPの高レベル - 急性・間欠性ポルフィリン症か異型ポルフィリン症で上昇
  • ポルフィリンの高レベル - 遺伝やその他多くの環境化学物質、薬剤、疾患やアルコールの可能性